今回お届けするのは「ダチョウハードボイルド」。
『HEN 愛 LET’S GO!』の5曲目に収録されている「I’m Hard Boiled」で歌われている、「固ゆで卵」。固ゆで卵をHEN愛し、半熟ムーブメントと闘う男・ハヤシ。彼の思う固ゆで卵唯一の欠点は、サイズ。あんなに美味しいのに、すぐになくなっちゃう。本当はもっと大きな固ゆで卵を食べてみたい。固ゆで卵にまみれたい。
というわけで、そんなハヤシの固ゆで卵欲を満たすべく、巨大な卵を産むことで知られる鳥・ダチョウに会いに、HEN 愛 LET’S GO!
やってきたのは日本一のダチョウ飼育数を誇る「ダチョウ王国 石岡ファーム」(茨城県)。POLYSICSの3人を待っていたのは、たくさんのダチョウたち。
「お~!いるいる!凄いいるよ!」
と、ほぼ初対面となるダチョウとの対面にテンションアップのハヤシと、案外嬉しそうなヤノ。真顔のフミ。
見れば、あっちにもダチョウたち。う~ん、もしかしてエミューかも。区別がよくわからない。ちなみにエミューとは、ダチョウについで世界で2番目に背の高い鳥類。性格は温厚だが、雷・金属音・子供の甲高い声などに反応し走り回ることがあるという。ハヤシ、ピンチ!今日は「TOISU!」を封印せざるを得ないようだ。そして、その卵はなんとブルー。取材前に、丁度卵を産んだということで、今回は、エミューの卵も固ゆでにしてみることに。
まずはダチョウたちと記念撮影するPOLYSICS。カメラを構えるとどんどん集まってくるダチョウたちを前に興奮を隠せないメンバーたち。
「うわっ近づいてきた!」
普段はクールな男・ヤノも子供のようにはしゃいでいる。
「かわいいね~!みんなまつ毛が長くて美男子だね~。」
と、ダチョウの容姿を褒めるフミ。
「いや~今日はなんか旅行みたいで楽しいよね!楽しいよね!」
2回言うハヤシ。天候にも恵まれ、ダチョウたちにも歓迎されたことでご機嫌だ。
そのまま園内の施設に足を運んだ一行が見たものは、「ダチョウたまご(食用)」と書かれた冷蔵ケースや、卵の殻で作られたお土産物など、ダチョウに彩られた店内。
「こんにちは~!ダチョウとエミューの固ゆで卵ください!」
ハヤシが声を掛けると、厨房の奥から愛想の良いお店の方の声が。
「結構時間かかるわよ~!なにしろ大きいからね!」
と2つの卵を見せてくれた。エミューの卵はどうしてこうなったのかと不思議に思うほど、神秘的なほどブルー。一方のダチョウの卵は白いものの、一回り大きいサイズ。鶏の卵と並べると、その大きさは一目瞭然。
どうやら相当な茹で時間を要するようなので、早速青色のエミューの卵と白いダチョウの卵を鍋に。特別に厨房に入れてもらう3人。お店の人によると、目玉焼きや卵焼きなどはよくやるものの、ゆで卵にするのは初めてとのことで、
「私もどれくらい茹でたら良いのかわからないのよ~!」
と戸惑い気味。
「本当、すいません。でも、心ゆくまで、固ゆで卵を食べてみたくて!」
偏っているが、純粋な愛。母のような眼差しで卵を見守るハヤシ。まあ、バイザーつけてるからよく分かんないけど。
茹でている間、ハヤシが固ゆで卵へのHEN愛を語り出した。
「僕は、中途半端な物が嫌なんですよ。“生か固ゆでか”どちらかですね。今、ラーメンでも半熟卵が主流ですけど、その風潮が本当イヤで。僕はラーメンでもおでんでも、固ゆで卵を半分に割ってそのまま食べて、もう半分は黄身をスープに溶かして食べてから白身を食べるのが大好きなんですよ。それが出来ない現状がもう許せなくて…」
と歯ぎしりするハヤシ。
「音楽シーンの中でもマイノリティなスタイルでやっているんですけど、卵シーンでもマイノリティか、という気持ちにさせられるんですよね。」
ついには自らの音楽スタイルにまで言及し出すハヤシ。せめて半熟か固ゆでかをチョイスできる世の中になってほしいんだ、とステージ上からも発したことが無さそうな熱いメッセージを連呼していると、
「うん、俺も固ゆで派なんだよね、実は。」(ヤノ)
「実は私も!半熟なんてチャラいよね!?」(フミ)
と、2人も激しく同意。なんと、この企画が始まって以来初めて3人の意見が一致した!今日は固ゆで卵記念日、いやダチョウ記念日だ。ダチョウ王国建国万歳!
そうこうしているうちに、まずはエミューの卵が茹で上がった。茹で時間は、およそ1時間。果たして固ゆで卵はしっかりと出来ているのか!?そして美味しいのだろうか?というか、そもそも食べられるのだろうか?
「ドキドキするね!」
とハヤシ。
いよいよ殻を割る。
「うわっ、硬い!全然割れないよこれ!」(ハヤシ)
「塩釜焼を割ってる感じ!」(フミ)
「…」(ヤノ)
殻を少しずつ割りながら剥いていく3人。固ゆで卵を前に団結力が深まっていく。コツコツとハンマーの尖った方で。想像以上に手強いようだ。タイル職人のごときハンマー使いで頂点を砕くと、中には白い薄皮が。薄皮とはいえ厚そうだ。
「なんか笑いが止まんないな!」
何故か笑いだすハヤシ。ハードボイルドエッグ・ハイ状態。
「皮が厚い!」
とはがすフミ。皮に触ってみると、ゼラチン状でプルプルしてる。本体をハンマーで叩くとボヨンボヨンとスーパーボールのような感触。どうやらゆで卵にはなっているっぽい。
「できた!!」
殻の鮮やかなブルーからは想像出来ないぐらいに、中身は普通の白い卵。早速、ハヤシが包丁で切ってみると、見事な固ゆで卵が!
「おお~~~!スゲ~~~~!」
なんだか異様に黄身部分が多いものの、固ゆで卵には間違いない!エミューの固ゆで卵完成だ!
続いて、ダチョウの卵の殻も剥いていく3人。
「なんか上手くなってきたよね」
ハヤシの言葉通り、無駄に卵の殻剥きに慣れてくる3人。
「おお~~~~!」
早速包丁を入れてみるハヤシ。しかし一見固ゆで風に見えたものの、いざ切ってみるとドロドロと白い液体状のものが…。ダチョウの卵は、90分の茹で時間では足りなかったか?
中身はドロっと半熟に近い感じ。ちょっと見た目が悪い感じ。正直、あんまり美味しくなさそうな感じ。ぶっちゃけ食べたくない感じ。
「ちょっと、私は遠慮しとく」(フミ)
「同じく」(ヤノ)
何はともあれ完成!というわけで、エミューの卵とダチョウの卵を並べてみる。
あまり食欲がなさそうな2人をしり目に
「良いの?食べちゃうよ?じゃあ、いただきま~す!」
まずは、エミューの卵を実食。
食塩をふり、半分に切った卵を手に持ってかぶりつくハヤシ。
「あれ?結構、美味しいかも。いや、これは美味しいよ!ただちょっと味が薄いかな?あと匂いが結構する。味が薄いからラーメンなら濃いスープの豚骨しょうゆには合うんじゃないかなあ?」
真剣に味をジャッジするハヤシ。塩だけでなく、しょうゆをたらしてもう一口。
「うん、どちらかというと、しょうゆの方が合うかもしれない。でも、普通の鶏の卵の方が美味しいかな。」
台無しなことをサラッと言うハヤシ。
続いて、ダチョウの卵を食べてみる。
「何か感触が、ちょっと危ない感じがする」
ダチョウの卵の独特のぷるぷる感にイヤな予感を感じつつも、意を決して卵を口へ運ぶハヤシ。
ハヤシ、アウト。
(※写真の掲載は控えますが、なかなかのダメージを受けておりました。)
手負いのハヤシが、ぽつり。
「固ゆで卵は好きだけど、ニワトリよりデカいやつはやめとく。」
どうやら固ゆでとか半熟とかじゃなく、卵は小さい方が良いと再確認した様子。過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し。なんでもないようなことが幸せだったと思う。そういうことだよね、きっと。
「勉強になったね、今日は!」
到着時のテンションはどこへやら。ダチョウには目もくれず、夕暮れのダチョウ王国を後にするPOLYSICSだった(※残った卵はスタッフ一同が美味しく頂きました)。
そんなハヤシの固ゆで卵へのHEN愛が詰まった楽曲「I'm Hard Boiled」収録の、POLYSICSニューミニアルバム『HEN 愛 LET’S GO!』。2015年3月25日発売です!
固ゆで卵だいすき!
取材・文:岡本貴之
写真 : 石橋雅人
撮影協力 : ダチョウ王国 石岡ファーム(
http://dacho.co.jp/)
ダチョウは、何かの植物のように、ニョキニョキ生えていました。