今回お届けするのは「アドリブ伊達巻」。
『HEN 愛 LET’S GO!』の4曲目に収録されている「DTMK未来」で歌われている、「伊達巻」。日本人なら誰もが口にしたことあるはずの、伊達巻。確かに美味しい、伊達巻。でもぶっちゃけ、お正月のおせち料理でしか食べないような、そんな伊達巻。今は3月。言ってみれば伊達巻オフシーズン。それでもハヤシはオールシーズン、伊達巻を食べたいんだって。
「伊達巻の魅力はなんといってもあのポップさ。カワイイんですよねえ。巻かれた姿とあの波形が付いたビジュアルが、最初に惹かれた理由ですね。そしてあの卵のフワフワな感じ、食感、味です。あ、あと色もいい。黄色っていうのがいい。」
伊達巻の魅力を語るハヤシの表情はまるでお正月を迎えたように幸せそう。
「あんなに美味しい伊達巻が、どうして年一度しか食べられないのか?もっとコンビニとかで、ライトなスナックとしてカジュアルに食べられるようになるべき。通勤電車の中とか、仕事中にパッと取り出して食べてたらオシャレじゃん。」
じゃあもう、そこまで言うなら、自分で作ってもらいましょう!ノーヒントで。
「えぇっ!?俺が作るの?しかもノーヒント!?」
一瞬うろたえるハヤシ。目の前には伊達巻作りに必要な食材、ひっかけ用の食材が並んでいる。
用意された食材 :
水あめ/生クリーム/みりん/豆腐(木綿・絹)/卵/片栗粉
グラニュー糖/ごま油/醤油/塩/はんぺん/だし/かまぼこ
「私はおせち料理で好きなのは、なますとかチョロギ」(フミ)
「あんまり伊達巻は食べないですね」(ヤノ)
どうやらPOLYSICS内ではカジュアルどころか、おせち料理というフォーマルな装いでも伊達巻支持率はあまり高くないようだ。しかしそれだけに、むしろ自らの手で伊達巻の美味しさを啓蒙できるチャンスだ。さあハヤシ、やって!TRY!
まずは手を洗います。今のところ合ってる。
そしてバイザーを外し、メガネ姿に。やさしい笑顔。
ボウルに卵×5個を割り入れます。片手で割ることが出来るのが誇らしいらしく、「ここ、片手で割るのがコツだから撮っといてね」とハヤシ。
続いてはんぺんを一袋、手でちぎって投入。
更に、カマボコを切り、ボウルの中へ。今のところ迷いはないが、普通、伊達巻にカマボコは入れない。
「次は豆腐だな」
と言ったものの悩んでいる様子のハヤシ。
「あれ?木綿かな?絹かな?どっちだろう」
いや、ていうか、どっちも入れないけど。
なぜ豆腐を入れたいのか?という問いに
「勿論、ふわツヤ感を出すためですね。」
悩んだ挙句、絹ごし豆腐をセレクトするハヤシ。
細かく切った豆腐も投入し、ボウルの中身を全てミキサーに。
そこにだしの素を一袋、水で溶いて加える。
「あれ?伊達巻って甘いよね?今のところ、甘い要素がない」
というわけで、みりんも適当な量、入れてみる。
液体化した食材を見て
「お!これキタんじゃない?伊達巻っぽい色してる!」
「ちょっと一回、味見してみるね」
「うわっ!しょっぱい!」
だしの素を水で溶いたときの割合は箱の説明書きを読んだのか?という問いに
「…一袋10人前って書いてある!水が少なすぎた!」
適当な量の水と、なぜか卵を1つだけ加え、再びミキサーで混ぜたあと、二度目の味見。
「これだ。うん。良いんじゃない?この味だ!」と、順調に伊達巻に近づいてきたと思っている様子。
材料をザルでこしてみる。
フライパンを熱し油を入れてから、「ん?伊達巻って焼くのか…?」としばし自問自答した後「よし、弱火で焼こう!」と液体を流し入れ、菜箸でぐるぐるかき混ぜながらも、どこか不安げなハヤシ。
「美味しそうなスクランブルエッグじゃん!」(フミ)
と皮肉られるものの、「大丈夫、まだ第二陣がある!」と開き直るハヤシ。「蒲鉾を板わさにして食べたい」とキッチンの周りで酒の肴を物色するフミと、興味なさげに遠巻きで眺めるヤノ。
「粗熱を取って冷やす。」
と、にわか調理知識を口にしながら、なぜかヘラで卵に風を送るハヤシ。それ、絶対効果ないわ。
すだれの上にラップを広げ、具材を巻いていく。横からグニュ~っとはみ出た部分にラップを補強、冷蔵庫に入れ、後は完成を待つのみ!
「冷えたら固まるから大丈夫。味は自信あるし。」
「やかましいわ!」(フミ)
しかしまだ完成して試食してみないことにはわからない。果たしてハヤシはノーヒントで伊達巻を完成させるというミラクルを起こせるのか!?
★フミ&ヤノ 巨大伊達巻を作る★
一方、フミとヤノは「江上料理学院」の先生方の指導の下、ハヤシが作る伊達巻に対抗すべく卵を25個使い「巨大伊達巻」を製作開始。
「おぉ~~~~~!」
元調理師の道を進んでいたというヤノによる、はんぺんをすりこぎで擦る手際の良さに一同感嘆。リズム隊の2人による小気味良いすりこぎセッションがキッチンに響きわたる。
正しい伊達巻の作り方を習いながら調理を進める2人。明らかな手際の良さ。
ハヤシ「あ、でも俺けっこう合ってたところもあるよ!?」
確かに食材的にはほとんど一緒。但し蒲鉾は不要だったこと、そしてだしの素と水の比率は完全に間違っており、ひとつひとつの工程のレベルが違いすぎる。
オーブンに入れて約30分焼き上げた素材を巻き上げるフミ&ヤノ。巨大伊達巻が形になると
「おぉ~~すげえすげえ!」
とハヤシも思わず感嘆の声。自分が作った伊達巻のことはまるで忘れているかのようだ。
★いよいよ2つの伊達巻が完成!!★
共に1時間程冷蔵庫で冷やし、まずはフミ&ヤノ作の巨大伊達巻を取り出すと、見事な焼き色とふっくらとした質感で実に綺麗!さらに素晴らしい巻き模様で本当に美味しそうだ。
「うわ~キレイだね!これはめでたい!」
と、やっぱり伊達巻のお正月感を無意識に認めてしまっているハヤシ。
続いてハヤシ作の…だて…ま…き…なんだろうかコレ!?巻きすを取るとなんとも頼りない薄黄色な物体が…。
「うわあ…これは酷いな」
「釣りの餌みたい」
ざわめきが起こる中、残酷にも並べられるハヤシの伊達巻と巨大伊達巻。見た目にも違いは明らかだが、食べてみるまではまだわからない。いや、嘘!食べなくてもわかる。ハヤシ、完敗!!
伊達巻と、何かぐちょぐちょしたやつ。
★いざ実食★
まずは巨大伊達巻を実食。
「うめ~!めっちゃくちゃ美味しい!こんな美味しい伊達巻食べたことない!フワフワで焼き立てで香ばしくて本当美味い!」
と興奮するハヤシ。その表情は幸せの絶頂。本当に好きなんだね、伊達巻が。
「伊達巻好きにはたまらないね!」
と大絶賛しながらひとしきり味わうと、ついに自分が作った伊達巻を実食することに。
超ウルトラ美化するとチーズケーキに見えなくもない物体に包丁を入れるハヤシ。伊達巻状に切ろうと試みるも、断片はボロボロと崩れおちて明らかに伊達巻感を失っていく。まあ良い、問題は味だ味!
「…しょっぱ!!」
「マズい!超マズい。」
そこまでマズいと言われるとむしろ気になる。
「うん、でも言うほどではないよ」というハヤシの言葉に促され、一口食べてみた。すると、なんとも嫌な食感と塩辛い味のハーモニーが口中に広がっていく。激マズい!!これは伊達巻どころの騒ぎじゃない。
「いや~伊達巻作るのって大変なんだね。」
と振り返るハヤシ。確かに、レシピも見ないで伊達巻を作るなんてどうかしてる。我々はおせち料理のレギュラーポジション争いを勝ち上がってきた伊達巻の実力をあなどっていたようだ。すいません伊達巻さん。そしてごめん、ハヤシ。
「でも本当、この巨大伊達巻は美味しい!」と最終的には以前にも増してさらに伊達巻が好きになったハヤシであった。良かった良かった。
そんなハヤシの伊達巻へのHEN愛が詰まった楽曲「DTMK未来」収録の、POLYSICSニューミニアルバム『HEN 愛 LET’S GO!』。発売中です!
D・T・M・K!伊達巻だいすき!
撮影 : 石橋雅人
取材・文:岡本貴之
撮影協力 : 江上料理学院(
http://www.egami-cooking.co.jp/)
自作の伊達巻のマズさに笑ってしまうハヤシ。今気付いたけど、歯並びは凄くいいね。